未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
174

いすみの車窓から始まる思索の時間 電車のなかでひらめきを。

文= 川内イオ
写真= 川内イオ
未知の細道 No.174 |25 November 2020
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#6昭和レトロの車両がオフィスに

取材の日はディーゼルカー「キハ28」と「キハ52」は運行していなかったので、検修庫で取材させてもらった。

名付けて「ワッペン・ワーケーション列車」は、11月1日に運行開始。いすみ鉄道の1日乗車券は平日1200円、土日祝日は1500円で、これに総刺繍のワッペンがつくと平日2000円、土日祝日は2300円になる。運行ダイヤの関係で、優先乗車が行われているのは土日祝日に走行する、1964年製造のディーゼルカー「キハ28」と65年製造の「キハ52」が連結した急行列車のみだけど、平日はそれほど混雑しないので優先乗車しなくても座れるだろう(僕らも着席できた)。

  • テーブル備え付けの「キハ28」の車内。
  • 提示されている広告は、昭和期に実際に使われていたもの。

取材の日は平日だったので、検修庫にあった「キハ28」と「キハ52」を案内してもらった。青いボックスシートが並び、天井に扇風機が備え付けの車内は昭和レトロ感満載。何気なく提示されている車内広告も、昭和期に使われていたものをプリントしているというこだわりだ。毎週土日のみ運行されているレストラン列車で使用されている「キハ28」には、テーブルもある。齋藤さんのお勧めは、「キハ28」でのワーケーションだ。

「テーブルがあるからお弁当を食べたり、ドリンクを飲みながら仕事できるのがいいですよね。いすみ鉄道でしかできないことですし」

テーブルがある「キハ28」は、ビジネスパーソンにも快適。

テーブルがある席に座ってみると、これはもうなんの問題もなくパソコンを開いて仕事ができる環境だ。おいしいコーヒーでも持参したら、仕事がはかどりそう。

わざわざ購入したクリップボードだが、中央から内側に折れる構造でPCを載せると使いづらかった。

連結している「キハ52」の車両はテーブルがないので、とっておきのグッズを使用してみた。首にかけることができる、折り畳み式のクリップボード。この取材に合わせて購入したもので、これにパソコンを載せればキーボードを打つこともできそうだった。ちなみに、写真のパソコンは齋藤さんのものを拝借した。齋藤さんのアイデアは、まだまだ拡がっている。

「いすみ鉄道が走る地域では、農業体験やりながらゆったり宿泊できるような宿泊施設もあるので、いずれはそういうところと組みたいんです。このあたりにロングステイしてもらいながら、アイデア出しをしたり、ミーティングする時はいすみ鉄道に乗る、みたいな使い方をしてもらえたら嬉しいですね」。

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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
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