一部では「北海道三大冬祭り」とも呼ばれるまでになった、氷瀑まつり。ほかの2つとして挙げられるさっぽろ雪まつり、旭川冬まつりと大きな違いがある。札幌と旭川は「雪」を使っているのに対して、層雲峡は「氷」。今年は記録的な雪不足で、特にさっぽろ雪まつり(2月4日~11日)は雪の確保に苦労したと報じられたけど、氷瀑まつりは「冷えれば凍るから、特に影響がなかった」そう。
でも、雪なら集めて固めれば形になるけど、氷はそうもいかない。「氷の建造物を作るのはけっこう大変そうですね?」と尋ねたら、「いやいや、すっごく大変です」と苦笑された。 中島さんによると、準備が始まるのは前年の秋口。そこで実行委員会が立ち上がり、テーマや造形物のレイアウトを決めていく。クリエイティブディレクターやアートディレクターなど外部の人材に依頼することなく、自分たちでゼロから考えるそうだ。
11月前半になると、休日以外は連日10人ほど集まり、2000本を超える北海道産のカラ松の丸太を使って、レイアウト通りに足場を組んでゆく。つららができやすくなるように、丸太と丸太の間に糸を張っていく。足場が組み終わったら、河川敷に掘った8つの井戸から汲み上げて、ろ過した水を吹きかけていく。ろ過するのが、ポイントだ。
「沢の水をそのままかけると汚れが残るので、黄色い氷像になってしまうんです。ろ過することで不純物が取れて、氷が青くなる。青い氷は水がきれいな証拠です」
水の噴霧は年が明けて1月の上旬頃まで続く。つららが連なり、重なってできた氷の塊は思いがけない形になることが多いので、チェーンソーやつるはしで階段やトンネルの形を整えていく。氷のなかのトンネルを歩けるように作られた造形物もあるから、この作業が一番大変だという。
「上から水をかけていくと、どんどんつららが垂れてくるし、垂れた水が固まって地面の氷も盛り上がってくるんです。だから毎日、チェーンソーを振り回してつららを落として、地面の氷も平らにしなきゃいけないんです」
今年も、1月23日の開幕に合わせて、前日まで最後の仕上げに追われたそうだ。準備段階から完成まで、まさに手作りのお祭り。規模が大きくなり、来場者も増えたけど、そういうところは、第1回から変わっていない。