会場にはゴムチューブで滑る氷の滑り台やアイスクライミング体験ができる巨大な氷の壁があって、酷寒の地ならではの遊びも体験できる。「体験」でいうと、特に僕の目を引いたのは、「北の氷酒場」。カウンターから座席まで氷で造られたバーで、お酒を飲むことができるのだ。
氷のバーだけならほかの地域にもあるかもしれないけど、2017年に開業して以来、全国的な人気を誇る上川町の酒蔵「大雪上川酒造」の限定酒「神川」と北海道の旭川で100年以上の歴史を持つ老舗「高砂酒造」の地酒「国士無双」の飲み比べができるのは、ここだけ! 日本酒が好きな人にとっては、それだけで層雲峡まで行きたくなる企画だよね。残念ながらここは土日祝日のみの営業で、僕はひとり、北の氷酒場で涙を呑んだ。
今年から始まったコンテンツは、「インタラクティブプログラム」。雪面に、人の動きに反応して映像が変わるプロジェクションマッピングが投影されている。ここは子どもたちに大人気で、飽きもせずに駆け回っているそうだ。僕が取材に行った日の夕方、プロジェクションマッピングが始まったらすぐに外国人のカップルが来て、楽しそうに遊んでいた。
「お祭りでそんなことまで!?」と驚いたのは、毎年3月14日のホワイトデーの日に行われる結婚式。会場のステージで人前式を挙げるイベントで、34回目から始まった。希望者がホームページから応募するんだけど、意外なことにすでに42組の夫婦がこの会場から最初の一歩を踏み出したそう。
「先にお兄さんがここで結婚式を挙げた数年後、弟さんもここで結婚式をした福岡の方がいましたね。孫がドイツに嫁にいって、里帰りするからここで式をやりたいと応募してきた方の時は、ここまでドイツ人の旦那さんを連れてきました。ここで結婚式を挙げた時、お腹に赤ちゃんがいた方は、子どもを連れて毎年遊びに来てくれます。本当に毎回、いろいろなドラマがあるんですよ」
氷の祭りで結婚式って、特にウェディングドレスのお嫁さんはめちゃくちゃ寒そうだけど、会場のお客さんがみんなで盛大に祝ってくれて、雪が降っても、風が吹いても、寒さをはねのけるホットな雰囲気になるんだって。この「祭りで結婚式」、全国のお祭りでやったらいいと思うのは僕だけだろうか?