未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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気温は氷点下!だけどホッコリ温かい! 層雲峡氷瀑まつりが12万人を集める理由

文= 川内イオ
写真= 川内イオ
未知の細道 No.156 |25 February 2020
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#3「駐車場で1週間」のお祭りから始まった。

この竹中さん、どんな方だろうと思って調べたら、北海道恵庭市を拠点に活動し、北海道静内町の真歌公園にあるアイヌ民族の英雄「シャクシャイン像」の制作者としても知られる高名な造形作家、竹中敏洋さんだった。トラック運転手をするなどして竹中さんの創作活動を支えた妻・幸子さんとの生活は、テレビドラマ「ダンプかあちゃん」(1969)のモデルとなったそう。(すごいタイトル!)

恵庭市で、氷点下のなか立ち木に吹きかけた水を凍らせて作るアート作品「造形樹氷」の実験を重ねていた竹中さんは、層雲峡でも樹氷を展示した。だから実は、第1回氷瀑まつりの名称は「樹氷祭り」だった。

「現在は石狩川の河川敷の特設会場で約2カ月間、開催していますが、当時は会場も会期も違いました。今、立体駐車場があるあたりにPRセンターがあって、そこの駐車場の敷地で1週間ぐらいの期間だったそうです。それが好評で、どんどん人が来るようになって、会場が変わり、期間も長くなりました」

駐車場で1週間とは、ずいぶんとこじんまりとしたお祭りだ。でも、竹中さんの作品を中心としたお祭り自体にパワーがあったのだろう。第2回から現在の名称に名前を変えたこのお祭り、現在では開催期間中に12万人の観光客が訪れる規模にまで成長した。外国人も多くて、僕が取材に行った日も来場者の半分ぐらいは外国人だった。2002年に亡くなった竹中さんもきっと、驚いているだろう。

駐車場から始まった氷瀑まつり。現在の会場は1万平米に!
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「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
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様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
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