神奈川県足柄下郡真鶴町
人ひとりがやっと通れるような路地を進んでいくと、小さな宿の入り口があった。「泊まれる出版社」の真鶴出版だ。自分らしい生き方や居心地の良い暮らしを求めて、多くの人がここにやってくる。「これからもきっと変わらない」真鶴の街、そして真鶴出版の不思議な魅力とは?
最寄りのICから【E84】西湘バイパス「石橋IC」を下車
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「わたしたちは、いわゆる“まちおこし”をしているわけではないんです。ただ自分たちの暮らしの“居心地の良さ”を求めているだけで。真鶴には、変わらずにこのままでいて欲しい。自分たちが来たことで真鶴を変えるのではなく、ほんの少しなにかを加える、それくらいがちょうどいい」
そう語るのは神奈川県の真鶴で、「泊まれる出版社」である真鶴出版を運営している來住(きし)友美さんと川口瞬さんだ。
「泊まれる出版社」————。そんな不思議な場所は、日本全国を探しても、ここだけだろう。
ふたりは真鶴の街の魅力を伝えるマップや出版物を製作しながら、一日二組限定の小さな宿「真鶴出版」を運営している。
そこは、普通の観光とは異なる“なにか”を求める人々が泊まりにくる場所。
本が好き。静けさが好き。いつか宿やお店を開きたい。移住先を探している。そんな理由だ。
こうして、この5年間で、真鶴出版との出会いをきっかけに、移住を決めた人がもう40人以上もいるというのだから驚く。
ふたりが感じている“居心地の良さ”を、その人たちも発見したのだろうか。
居心地の良い暮らしってなんだろう?
人にとって幸せってなんだろう?
そんなことを考えさせてくれる旅だった。