未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
155

神奈川県足柄下郡真鶴町

人ひとりがやっと通れるような路地を進んでいくと、小さな宿の入り口があった。「泊まれる出版社」の真鶴出版だ。自分らしい生き方や居心地の良い暮らしを求めて、多くの人がここにやってくる。「これからもきっと変わらない」真鶴の街、そして真鶴出版の不思議な魅力とは?

文= 川内有緒
写真= 川内有緒
未知の細道 No.155 |10 February 2020
  • 名人
  • 伝説
  • 挑戦者
  • 穴場
神奈川県足柄下郡真鶴町

最寄りのICから【E84】西湘バイパス「石橋IC」を下車

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#1居心地の良い暮らしを探しに

「わたしたちは、いわゆる“まちおこし”をしているわけではないんです。ただ自分たちの暮らしの“居心地の良さ”を求めているだけで。真鶴には、変わらずにこのままでいて欲しい。自分たちが来たことで真鶴を変えるのではなく、ほんの少しなにかを加える、それくらいがちょうどいい」

そう語るのは神奈川県の真鶴で、「泊まれる出版社」である真鶴出版を運営している來住(きし)友美さんと川口瞬さんだ。
「泊まれる出版社」————。そんな不思議な場所は、日本全国を探しても、ここだけだろう。

左から來住友美さんと川口瞬さん。2015年に真鶴に移住した。

ふたりは真鶴の街の魅力を伝えるマップや出版物を製作しながら、一日二組限定の小さな宿「真鶴出版」を運営している。
そこは、普通の観光とは異なる“なにか”を求める人々が泊まりにくる場所。
本が好き。静けさが好き。いつか宿やお店を開きたい。移住先を探している。そんな理由だ。
こうして、この5年間で、真鶴出版との出会いをきっかけに、移住を決めた人がもう40人以上もいるというのだから驚く。 ふたりが感じている“居心地の良さ”を、その人たちも発見したのだろうか。
居心地の良い暮らしってなんだろう?
人にとって幸せってなんだろう?
そんなことを考えさせてくれる旅だった。

街のあちこちから海が見える。
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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
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