茨城県常陸大宮市
常陸大宮市の西塩子地区には、江戸時代から伝わる舞台を組み立てて行われる農村歌舞伎がある。一度は途切れた伝統文化を地域の人たち自らが復活させ、さらには各地から集まった人たちがこの文化をつないでいこうと努力しているという。「西塩子の回り舞台」第7回定期公演とそれを作り上げる人たちの姿を追った。
最寄りのICから【E6】常磐自動車道「那珂IC」を下車
最寄りのICから【E6】常磐自動車道「那珂IC」を下車
秋晴れの朝、久慈川沿いに車を走らせる。茨城県常陸大宮市の西塩子地区で三年に一度だけ開かれる農村歌舞伎「西塩子の回り舞台」の第7回定期公演を見に行くためだ。なんと二百年前から続いているというこの農村歌舞伎では、組立式の舞台を、たった一日限りの定期公演のために、地域の人々が総出で、二ヶ月かけて組み立てるのだという。
この一週間前に、日本各地に猛威を振るった台風19号は、常陸大宮市を流れる久慈川流域にも大きな被害をもたらした。久慈川は堤防決壊や越水のため大規模に氾濫し、私がいま通ってきた県道293号は、ほんの数日前まで通行止めになっていたのだ。「西塩子の回り舞台」も強風で舞台が壊れるのではないかと、開催が危ぶまれていたのだが、幸いにも大きな破損はなく、なんとか無事に公演を開催することになったのだ。
駐車場からシャトルバスに乗換え、定期公演会場の大宮公民館塩田分館とへたどり着く。普段は静かな里山なのだろう。開演1時間前だというのに、あたりにはすでに人がいっぱいで、祭りの空気が満ち満ちている。
そしてのぼり旗がはためく小道を上がると、分館のグラウンドには、それはそれは大きな舞台が立っていた!