未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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未来へ向かって回せ! 西塩子の回り舞台と農村歌舞伎

文= 松本美枝子
写真= 松本美枝子
未知の細道 No.149 |8 November 2019
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#4インターナショナル歌舞伎!

幕間に客席を離れると、番傘を片手に、バシッと着物を着こなした外国人の一団がいた。近寄って声をかけると、なんと彼らも次の演目に出るというではないか。みな、この周辺で働いているという彼らは、常陸大宮市国際協力協会が開いている「ばらの会」という日本語教室のメンバーなのだという。
彼らの国籍は、パラオ、カナダ、ネパール、ベトナム、インドネシア、アメリカ、イギリスとじつにさまざま。この静かな里山にも、こんなにいろんな国の人々が働きに来ているんだなあ! と改めて驚く。

この国際色豊かなチームによる出し物は「白浪五人男」をアレンジして、日本語で自己紹介する「SHIRANAMI」のほか、「姫さまを救い出せ」という寸劇もあった。二人の忍者が悪い殿様から姫様を救いだす、という筋書きだ。
忍者役はネパールからやってきた中学生のアリくんと、高校生のサムンドラくんなのだが、手裏剣を投げるタイミングは、敵である殿様役、イギリス人のニックさんが、舞台の上でこっそりと「よし、手裏剣投げて!」なんて出したりしている。その声はマイクを通して客席まで届いてきて、なんだかちょっとおかしいんだけど、見ていてほのぼのとした気分になる。この楽しい寸劇もこれまた喝采とおひねりが舞っていた。

その他にも三味線や創作舞踊、幕間には常陸大宮市の豪華特産品があたる「お楽しみ抽選会」など、歌舞伎以外の出し物も織り混ぜながら、定期公演はどんどん進んでいった。

地域の子どもたちによる創作舞踊劇「鏡岩」

未知の細道のに出かけよう!

こんな旅プランはいかが?

未来へ向かって回せ!西塩子の回り舞台と農村歌舞伎

予算の目安15000円〜

最寄りのICから【E6】常磐自動車道「那珂IC」を下車
1日目
常陸大宮市へ。古文書など地域の史料を保管する常陸大宮市文書館 では11月10日まで集中曝涼として「西塩子の回り舞台のフスマ」を展示中だ。舞台の道具などの文化財をみることができる。
常陸大宮市は「常陸秋そば」の産地であり、そば処として有名。また市内には温泉も多い。そばと温泉めぐりを楽しもう。
2日目
市内には久慈川や御前山などの自然がいっぱい。紅葉も綺麗な時期だ。ハイキングやドライブ、デイキャンプなどを楽しもう。

※本プランは当サイトが運営するプランではありません。実際のお出かけの際には各訪問先にお問い合わせの上お出かけください。

未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。