いよいよ開会式が始まった。式では大会関係者たちから、台風被害で舞台の天井の菰(こも。むしろのこと)が吹き飛ばされ、青空天井になってしまったこと、市内の台風被害の深刻さから開催を悩んだこと、それでも被災した人々を元気にしたいという思いで、開催を踏み切ったことなどが語られた。
さて最初の演目の前に、地元の大宮北小学校の四年生達による「口上」がはじまった。小学生とは思えないような堂々とした口上に、会場は拍手喝采だ!
そして大宮北小学校の女の子たちによる常磐津「子宝三番叟(こだからさんばんそう)」。常磐津とは三味線音楽などのこと。この「子宝三番叟」は幕開きに演じるおめでたい曲なのだという。次々に繰り広げられる子ども達の見事な舞に目を奪われてしまう。太郎冠者も佐保姫も、みんなみんな完璧な舞台衣装とメイクが美しい。さきほど口上をしていた子たちも、壇上で見事な謡を響かせている。
続いては男の子たちが中心の「白浪五人男 稲瀬川勢揃いの場」。盗みはすれど非道はせず、がモットーの五人の盗賊団たちの物語。盗賊たちが、自分の来歴を七五調の名台詞で語るあの有名な場面を、順番にかっこよく決めていた! 台詞回しも、見えの切り方も完璧で、みんなかなり練習を重ねてきたようだ。 子供歌舞伎のあまりのかわいらしさに観客からは歓声があがり、おひねりが飛び交う! 中には涙目で手をにぎり合う女性たちも、ちらほらいる。きっと舞台に上がっている子どものお母さんたちなんだろうな、と思った。子どもたちが練習の成果をぶじに発揮できるように、ドキドキしながら舞台を見上げていたのだろう。