そこまで話を聞くと、さっそく私たちは噂のBullock Booksに向かうことになった。田んぼの景色が続くのどかな道を進むと、分かれ道が現れ、山道の方に進んだ。
そこからが長い、長い! 鬱蒼とした針葉樹林の間を一本の坂道が延々と続く。内田さんがいなかったら、本当にこの道であっているだろうかと不安になるほどなにもない。
「いやー、すごい道だねー!」
「まだ先なのかなあ!」
私とマッシーはその何もなさに感心ひとしきりである。
そうして、5、6分ほど走ったころだろうか。ようやく生活の気配が漂う集落にたどり着いた。
「ここです」と案内された先は明らかに内田さんの実家で、二匹の大型犬が嬉しそうに出迎えてくれる。
人様の敷地に入って良いのだろうか、とやや躊躇いながら奥に進むと、木々が生い茂る美しい庭の一角に、小さなログハウスが見えた。
おお、あれが!!
風がそよめき、木々の葉が揺れ、まるで絵本の中から抜け出たような世界が広がる。想像も期待も裏切らないほどに小さな、Bullock Booksがそこにあった。
建物に近づいてみると、小屋はさらに小ささを増したように見えた。そして、木の扉を開けてなかに入ると、物語が溢れる小宇宙が広がっていた。