子どもの頃から本が好きだったという内田さん。
「私はひとりっ子なので、家族旅行の時も『この本を読んでなさい』と本を与えられて、いつも本を読んでいたんです。そのうちに、あれも読んでみよう、これも読んでみたいという感じで、気がついたら幅広い本を読んでいました。特に小さい頃からSF小説が好きで。最初に好きになったのは、『電気羊はアンドロイドの夢を見るか』(注:SFの古典で映画『ブレードランナーの原作』)です」
おお、シブいー!
そんな内田さんの顔には、愛するものについて語る人特有の幸せそうな表情が浮かんでいる。わかる、わかる、よくわかります! 私も小さい頃から本が大好きだったのだ。
そんな読書少女も、大学を卒業すると東京の一般企業に就職。心のどこかでは、いつか本屋さんで働きたいという気持ちを持ち続けながらも、何年という時間が経っていった。
しかし、ある日、内田さんに転機が訪れる。
「友人のおじいちゃんが所有するマンションが空室になっていて、家賃もいらないのでそこに住んで欲しい、という話が持ち上がり、友人たちとシェアして住み始めたんです。やったあ、これならば生活費があまりかからないので、本屋さんで働ける! と思いつき、仕事を辞めて新刊書店でアルバイトを始めました」
そこは、写真集やアート本などにも力をいれる大手の書店だった。担当したのは、写真集の棚。
「楽しかったですねー。働いている人はみんな本が好きで、こんな本が出たよーとか情報を交換しあって。特にSFが好きな同僚とはよく盛り上がりました」