未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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「私たちには物語が必要だ!」 森の中の不思議な本屋さん「Bullock Books」

文= 川内 有緒
写真= 川内 有緒
未知の細道 No.145 |10 September 2019
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#3山小屋のようなお菓子店

「ずっとSFが好きだった」と熱く語るBullock Booksの店主、内田有香さん。

子どもの頃から本が好きだったという内田さん。
「私はひとりっ子なので、家族旅行の時も『この本を読んでなさい』と本を与えられて、いつも本を読んでいたんです。そのうちに、あれも読んでみよう、これも読んでみたいという感じで、気がついたら幅広い本を読んでいました。特に小さい頃からSF小説が好きで。最初に好きになったのは、『電気羊はアンドロイドの夢を見るか』(注:SFの古典で映画『ブレードランナーの原作』)です」
おお、シブいー!
そんな内田さんの顔には、愛するものについて語る人特有の幸せそうな表情が浮かんでいる。わかる、わかる、よくわかります! 私も小さい頃から本が大好きだったのだ。

そんな読書少女も、大学を卒業すると東京の一般企業に就職。心のどこかでは、いつか本屋さんで働きたいという気持ちを持ち続けながらも、何年という時間が経っていった。
しかし、ある日、内田さんに転機が訪れる。

「友人のおじいちゃんが所有するマンションが空室になっていて、家賃もいらないのでそこに住んで欲しい、という話が持ち上がり、友人たちとシェアして住み始めたんです。やったあ、これならば生活費があまりかからないので、本屋さんで働ける! と思いつき、仕事を辞めて新刊書店でアルバイトを始めました」
そこは、写真集やアート本などにも力をいれる大手の書店だった。担当したのは、写真集の棚。
「楽しかったですねー。働いている人はみんな本が好きで、こんな本が出たよーとか情報を交換しあって。特にSFが好きな同僚とはよく盛り上がりました」

未知の細道のに出かけよう!

こんな旅プランはいかが?

小さなお店とアートを巡る旅 一泊二日

予算の目安2万円

最寄りのICから【E6】常磐自動車道「桜土浦IC」を下車
1日目
矢板や黒磯のユニークなお店を巡ってみよう。今回記事で紹介したお店はこちらです。

高塩菓子店
Bullock Books栃木県矢板市長井1840
Rooms
and & BOY (栃木市那須塩原市高砂町 6-5 202)
MEOW COFFEEが購入できるのは「道の駅 明治の森・黒磯

1988 CAFE SHOZO に寄ってコーヒータイムもおすすめです。
2日目
那須や黒磯には、たくさんの個性的なアートスポットや美術館が。思いのままに巡ってみよう。

現代美術作家の奈良美智さんの美術館「N's YARD
「水庭」が話題を集める「アートビオトープ那須
ノスタルジックな気分になれる「藤城清治美術館

または、栃木市の「蔵の街」に移動し、歴史を感じながらの散策もおすすめ。
遊覧船の船頭唄を聴きながら 巴波川沿いに歩く栃木の蔵の街 | 未知の細道 ※ 栃木市には今回の記事中に登場した増山やよいさんの「湊町エピスリー」も。

※本プランは当サイトが運営するプランではありません。実際のお出かけの際には各訪問先にお問い合わせの上お出かけください。

未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。