未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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物でも思い出でもない、新しい旅のおみやげに出会う旅

「生きる術」を持ち帰る離島の農家民宿へ

文= 小野民
写真= 小野民
未知の細道 No.130 |25 January 2019
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#2バスで、船で、海を渡って

上島町へ向かうためのフェリーが出る因島の土生港

ライターという仕事柄、さまざまなすてきな暮らしを覗かせてもらう機会の多い私にとって、「ちゃんと暮らしたい」は永遠のテーマだ。どうしても仕事を優先させていると、「ちゃんと」ができなくて悩む。

私が目指す「ちゃんと」に近いのは、農家の暮らしにヒントがあるような気がしてきたとき、体験メニューに「自然農法基礎講座」や「野菜の魅力を引き出す料理教室」がある「まるふのお宿」を目指すことにした。

弓削島へ行くにはいくつかのルートがあるが、私は新幹線の福山駅から「シトラスライナー」というバスに乗って1時間ほどの因島の土生(はぶ)港まで行き、そこから船に乗り、弓削島と車で行き来できる生名島の立石港に渡ることにした。土生港から立石港まではフェリーでほんの数分。住所では愛媛県だけれど、広島県にすごく近いのだ。

因島から乗ったフェリー。弓削島と橋でつながる生名島に3分、70円(人間のみの場合)で到着

立石港に到着すると、古川さんが車で迎えに来てくれた。生名島から佐島へ、佐島から弓削島へと橋を渡りながら、きらきらした海を眺める。「海を見るとそれだけで元気になる。遊びに行くところもそんなにないし、気分転換は海。夏は泳いだり、貝や魚を捕ったり。海藻もおいしいよ」と古川さん。立石港から「まるふのお宿」までは車で15分ほど。最後は細く入り組んだ道を進んで、古川さんと藤巻さんの自宅兼宿、そして食堂に到着した。

上島町は、弓削島のほか、岩城島、魚島、生名島など7つの有人島と18の無人島からなる離島で構成される町
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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。