未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
257

使われていない土地を牧場に活用して地域のコミュニティに! 森で暮らす牛たちと描く「酪農」の豊かな未来

文= 川内イオ
写真= 川内イオ
未知の細道 No.257 |27 May 2024
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#5青天の霹靂だった事業撤退

手書きのイラストが目印の放牧場入り口。

社会人3年目にして、牧場をゼロから立ち上げる役割を担った山川さんは、がむしゃらに走り回った。なかほら牧場と上場企業では、求められる仕事が違う。慣れないこと、知らないことが山ほどあり、たくさんの失敗をした。山川さんは当時の自分を「ほんとにダメなサラリーマン」と評する。しかし、関西のテレビ局や京都の伊勢丹が「森林ノ牧場」と名付けられた牧場を応援してくれたこともあり、一気に知名度が上がって、売り上げも伸び始めた。

アミタも、その仕事ぶりを評価したのだろう。2009年、那須に第二牧場を開くことになり、その責任者として山川さんの異動が決まった。それから2年間、メンバー3人とアルバイト、パートで牛の世話をしながら商品の製造、販売、店の営業を行い、赤字ながらも少しずつお客さん増えていた。

ところが2011年の年明け、アミタが牧場経営から撤退を決定。

これまでの取り組みやお客さんの反応に手応えを感じていた山川さんは仲間たちと話し合い、牧場を続けるために新会社を設立した。

牧場の譲渡に関するアミタとの話はスムーズに進み、4月から新体制で本格始動する予定だった。

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