未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
255

岩手から全国にはばたく毛織物 大正から続く伝統の「ホームスパン」

文= 白石果林
写真= 白石果林
未知の細道 No.255 |25 April 2024
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#3ふわふわのわたあめが、1本の糸に

指の加減で均一な糸に紡ぐ。まさに職人技

次はいよいよ、糸を紡ぐ作業。

カーディングした羊毛から繊維を引っ張り出し、機械で回転をかけてねじり合わせながら1本の糸にしていく。これを「撚り(より)をかける」という。

わたあめのようなふわふわの状態の羊毛を「あっ」という間に1本の糸に変え、高速で糸車に巻きつけていく姿に思わず見入った。ちぎれてしまわないのだろうか……と心配になるのだが、職人の指先を通ると均等な太さの糸になっていく。

しかも、作るものによって糸の太さや重さに指定があるというから驚く。つまり毎回、指の感覚で細くしたり太くしたりと調節しているということだ。いったいどれほど練習すれば、この技が身につくのか。

「そうですねぇ、もちろん個人差はあるけれど半年くらいはかかるかなぁ。やっぱり最初は糸が太くなったり細くなったり、ボコボコになったりします。整えようとして時間をかけると、撚りがかかりすぎて糸が固くなっちゃうし。指の押さえ方や引き具合で太さを調節する、かつ指定した重さの糸に紡ぐのは高度な技術です。みなさんが指定通りの軽い糸に紡いでくれるから、製品の軽さを実現できるんです」

未知の細道のに出かけよう!

こんな旅プランはいかが?

岩手から全国にはばたく毛織物

最寄りのICから、【E4】東北自動車道「盛岡IC」を下車
1日目
「みちのくあかね会」でホームスパンの製作工程を見学。ホームスパンコースターの製作も体験してみよう。その後は、徒歩5分の場所にある「もりおか町家物語館」へ。
盛岡の歴史的な景観を眺めながら散歩してみては。
みちのくあかね会
もりおか町家物語館
2日目
盛岡名物の「盛岡冷麺」や「じゃじゃ麺」を堪能したら、市内から車で30分の場所にある「盛岡手づくり村」へ。南部鉄器や染物など、伝統工芸品の製作工程を見学しよう。約10種類の手づくり体験も楽しんで。
帰りは展示即売室で、特産品の買い物もできる。
盛岡手づくり村

※本プランは当サイトが運営するプランではありません。実際のお出かけの際には各訪問先にお問い合わせの上お出かけください。

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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。