この日、文化センターへ向かって出発する前にランチをしたのは、ラオスの家庭料理レストラン。海老名市さがみ野駅徒歩3分の場所にある、レストラン「サバイディー」。ビルン会長が90年代後半に日本で初めて開いたラオスレストランだという。現在は、経営を別のラオス人に任せ、飲食業からは離れているようだ。
サバイディーでは本格的なラオス料理を食べることができる。メニューを吟味したサーンさんは興奮していた。
「ここまでラオス人の好きなメニューがあるのはめずらしいね」
愛川町で大切に守られてきたラオスの味が、隣り町で静かに根をおろしていた。
牛肉を細かく炒め香草と絡めたスパイシーサラダ「ラープ」、「サイ・コーク」という名のラオス風発酵ソーセージ、パパイヤサラダ「タム・マク・フーン」、もち米の「カオニャオ」を注文した。どれもこれも本格的で絶品だった。ただし、辛さは少し控えめ。
その後、お寺に着いてから「サバイディー」に行ったことをビルン会長に伝えると、「言ってくれたら、一緒にご飯を食べられたのに」とひと言。
「おいしいパパイヤサラダがあったんですよ。今度はぜひお寺で一緒にごはんを食べましょう」
ごはんに誘われるというのは、改めてとても気持ちの良いことなのだと思った。そうだそうだ、これだ。これがラオス流のコミュニケーションなのだ。一緒に食べれば距離が縮まる。愛川町でも幸せのおすそ分けというわけだ。