受け取りのお客さんが帰った後、葛西さんと奥さん(僕が最初に話しかけた女性)から話を聞いた。それで、ジャルダンがどれだけ人気のある店なのかを知った。
「2006年に関西のテレビ番組の『ちちんぷいぷい』で取り上げられたんですよ。15分ぐらいかな。それから1週間、注文の電話が鳴りっぱなしですよ。その時に受けた注文の発送が終わるまでに、4カ月かかりました」と懐かしそうに振り返る奥さん。いかにも穏やかそうな葛西さんも、「そうだったな、うんうん」と頷く。
2015年には、日経新聞の土曜版『NIKKEIプラス1』の「何でもランキング アップルパイ 旬をお取り寄せ特集」で4位に選ばれた。
「私たちはぜんぜん知らなくてね。電話に出たら、お客さんから『おめでとうございます!』と言われて、なんのことかと思いました(笑)」と奥さん。その横で、うんうんと頷く葛西さん。店先には当時の新聞が大きな額に入れて飾られていたけど、ふたりはきっとどれだけメディアに取り上げられても、いつも変わらずニコニコしながらアップルパイを作り、売っているのだろう。
三角形をしたジャルダンのアップルパイは、パリッとした香ばしい生地のなかに、軟らかく煮られたリンゴがギュッと詰まっていてジューシー! 見た目はボリューミーだけど予想外にサッパリ軽めの風味で、これなら何個でも食べられそう。コンシェルジュのふたりも、おいしい、おいしいと頬張っていて、お客さんやふたりの様子からもジャルダンへの愛を感じた。