未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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アップルパイの進化と多様性を巡る弘前ドライブ アップルパイタクシー、発車オーライ!

文= 川内イオ
写真= 川内イオ
未知の細道 No.223 |12 December 2022
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#6第1回アップルパイコンテストのグランプリ

さあ、二軒目は、コンシェルジュふたりの「地元民からも愛される店」という意見が一致した洋菓子店「ジャルダン」。こちらも1976年創業の老舗で、ぱっと見は昔ながらの洋菓子店という趣き。こんにちは~とお店に入ると、ショーケースにアップルパイが置かれていた。

地元民から愛される昔ながらのアップルパイ。

アポなし訪問だったので、店頭に立つ女性に「アップルパイタクシーに乗って、アップルパイの取材に来ました」と告げると、厨房にいた店のご主人、葛西清逸さんを呼び出してくれた。早速、葛西さんにアップルパイの特徴を聞く。

「アップルパイを作り始めたのは、店を開いた翌年から。地元で採れた紅玉を生のまま買って、うちで加工しています。紅玉は酸味と香りがよくて、私が好きなんですよ。パイ生地は、今はできあいのものもあるけど、うちは自家製です」

たまたま居合わせたお客さんは、注文していたアップルパイのホールを受け取りに来たところで、「ここのパイ生地が私は好きです。市販のやつは次の日にはくたっとしちゃうけど、ここはサクッとしてるんですよ」と教えてくれた。

運よく見せてもらえた、焼きあがったばかりのリンゴ型アップルパイ。

そのお客さんが受け取ったアップルパイは、なんともかわいらしいリンゴの形! 2001年に弘前商工会議所が主催した第1回アップルパイコンテストに出品する際、葛西さんが「ほかと違う変わったものを作ろう」と考案したそうで、これで初代グランプリに輝いた。

第1回アップルパイコンテストでグランプリに輝いた時の賞状とカップ。
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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
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