未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
209

都心から90分の大岳鍾乳洞で地球内探訪 異界のラビリンスへ、ようこそ

文= 川内イオ
写真= 川内イオ
未知の細道 No.209|10 May 2022
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#2極めて珍しい「私営」の鍾乳洞

岩肌が荒々しい鍾乳洞の内部

大岳鍾乳洞のチャレンジコース最大の難関(僕にとって)をクリアした僕は、子どもの頃に憧れた探検隊のような気分で、登ったり、下ったり、しゃがんだり、這ったりしながら、「この鍾乳洞を発見して、見学コースとして整えた田中雄嘉造(おかぞう)さん、すごすぎ!」と思った。

今は各所に照明があるし、足場が悪いところには板が置かれて歩きやすくなっているけど、1960年の発見当時はなにもない。雄嘉造さんにとっては、まさにケイビングだったはずだ。その後、発見者の雄嘉造さんはこの鍾乳洞のオーナーになり、1961年に営業を始めた。現在は孫の田中嘉伸さんが後を継ぎ、妻の友美さん、嘉伸さんの両親とともに営業している。

……え? と大きなクエスチョンマークが浮かんだ読者も多いだろう。鍾乳洞は全国各地にあるが、なんと、大岳鍾乳洞は全国でも極めて珍しい「私営」なのだ。東京の天然記念物である鍾乳洞を、二代続けて経営する。どういう経緯でそうなったのか、どんな気分がするものなのか? いろいろ気になった僕は、JR五日市線の秋川駅から車で30分の大岳鍾乳洞に向かったのである。

この森の先に大岳鍾乳洞がある。
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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
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