福島県いわき市
「福島県民のソウルフード」としてメディア等で取り上げられる「シーフードレストラン メヒコ」のカニピラフを味わいに、メヒコ創業の地である福島県いわき市へ。そこには想像を遥かに上回る、人々の物語が積み重なっていた。
最寄りのICから【E6】常磐自動車道「いわき湯本IC」を下車
最寄りのICから【E6】常磐自動車道「いわき湯本IC」を下車
遠洋漁業が盛んだったその昔、世界を股にかけて魚を追っていた船団長がいた。
彼は広い太平洋を越えてメキシコへ到着し、現地で目新しい食材を探した。ある時そこで、ピンク色をした野生の鳥の大群を目にした。
雄大な自然の中で佇むフラミンゴの一団を見ていたく感動した船団長は、「この素晴らしい光景を前に、贅沢な食事を楽しめたら……」と思いつく。
帰国すると、妻の出身地である福島県いわき市にレストランをオープンした。南国的な雰囲気の中、フラミンゴを眺めながら、船団長の大好物だったカニを食べるという、この上なくユニークなレストランを。
JR常磐線特急でいわき駅に到着して、レンタカーをピックアップする。対応してくれた若い女性スタッフに「これから『メヒコ』というレストランに行くんです」と話すと、途端に笑顔が柔らかくなった。
「私も小さい頃、おばあちゃんによく連れて行ってもらいました。自分の誕生日が近づくとレストランから『ご来店をお待ちしています!』というバースデーカードが届いたり。行くときはいつもワクワクしました」
彼女の話しぶりからしても、やはり地元では有名なレストランのようだ。
これから立ち寄る「フラミンゴ館」だけでなく、昔は「モンキー館」「水族館」などもあって、「いわきの子どもが初めて珍しい生き物を目にするのは『メヒコ』なのである」と紹介するブログもあったほどだ。
「鹿島街道」と呼ばれる県道26号線は、平と小名浜という、いわき市を代表する市街地を結ぶ幹線道路。丘陵地を切り開いたニュータウンや工業団地が周囲に点在し、そのせいか、自動車や大型トラックが途切れることなく行き来している。
「シーフードレストラン メヒコ いわきフラミンゴ館」はそんな一角に店を構えている。
建物のピンク色はもちろんフラミンゴを象徴し、アメリカのドライブインのような平屋の建物は、創業者とゆかりの深い船をイメージしたものだ。
現在は和食からラーメン、ファストフードにいたるまで様々なタイプの飲食店が軒を連ねる街道だが、メヒコが創業した1970年の道路は未舗装で、食事ができる店はほとんどない片田舎だった。