未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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フラミンゴのいるレストラン いわきの人々が大切にする場所

文= Numa
写真= Numa
未知の細道 No.196 |25 October 2021
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#2飼育や孵化も手掛けるレストラン

ちょうど週末のランチ時ということもあり、行列こそできていないものの、たくさんのグループがお店にやって来た。
入店するや否や「ガーガー」という鳥の鳴き声が聞こえる。シックな店内とはあまりにも対照的な、ワイルドなBGMである。

フラミンゴと間近にご対面できる窓側の席はすでに予約でいっぱいになっていた。

もちろんガラス越しではあるが、想像以上に動物とテーブルの距離が近い。砂かぶり席で大相撲を観戦するような気分だ。長い首の先にある小さな頭と大きなくちばし、色鮮やかな体色、それらを支える華奢な脚部。水を浴びたり毛づくろいしたり、片足で立ったままうたた寝をしたり、群れをなして動き回る一挙手一投足は、眺めていてまったく飽きが来ない。

30羽ほどいる群れの中で2羽だけグレーがかっているので不思議に思い、なぜなのか聞いてみた。
すると、温和そうな人柄の店長さんが「今年の春に生まれた赤ちゃんですよ」と教えてくれた。

な、なんと! メヒコはただ単にフラミンゴを展示しているだけでなく、飼育や孵化に関するノウハウを蓄積する飼育型レストランだったのだ。

店長の佐藤さんは動物管理の資格を持つ飼育責任者。さぞかしフラミンゴを愛し、すべてを知り尽くしたエキスパートに違いないと思いきや、実はそうではないらしい。

動物の愛護と管理に関する数年前の法改正によって、動物を展示する業者に義務付けられた新たな資格を、6店舗ある各フラミンゴ館の店長さんが取得した、とのこと。「特徴のある数羽以外は、どれがどれだかまったく区別がつかないです」と苦笑いする。

フラミンゴは主にヨーロッパやアフリカ、中南米の塩湖や干潟に生息し数千から数十万という単位で群れをなす野生動物だ。
現在いわき店にいるのはヨーロッパ・フラミンゴとチリ・フラミンゴの2種類で、くちばしの色で見分けることができる。性格は臆病で控えめ、群れを好むがゆえに周りの行動につられやすい。用心深いものの、比較的穏やかなで、それほど飼育の手間がかかる動物ではないとのこと。

飛び立つには25メートル前後の助走が必要らしく、現在の飼育環境では、仮に窓をすべて開け放ったとしても逃げ出す心配はゼロ。
また、50年以上生きることも決して珍しくない長寿の鳥類でもあり、現在飼育しているうちの何匹かはレストラン開業時から育てている個体なのだそうだ。

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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
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