未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
186

『旅の思い出』編 海岸線を東から西へ 鳥取の写真集を作る旅

文= 松本美枝子
写真= 松本美枝子
未知の細道 No.186 |25 May 2021
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#8鳥取の良いところ

鳥取の良いところ、と聞かれたら、「日本で一番人口が少ない県であること」と、まず私は答えるだろう。街はずれで写真を撮っていると、ほとんど人に会わない。はじめのうちは寂しかったけれど、慣れてくると、それは静かで心地よかった。
人が少ないから、自然が美しいまま残り、汚れていない水が川を流れ、美しい森と海ができる。陸地も海も美しいままだから、美味しい牛乳や肉が採れる牧場があり、新鮮な牡蠣やトビウオが食べられる。

とりわけ海が美しい、ということは何度も声を大にして言いたい。この旅の間、私は夕方になると、時々撮影をやめて適当な場所で海水浴をした。夕日のなかで海に浸かると、1日の疲れが取れるような気分になった。どこへいっても町のはずれにはきれいな海がある。そのまま適当に服を羽織って、車に乗ってすぐに宿へ帰れるのも良かった。

もうひとつは本屋さんが良いということ。それは鳥取に来る前にアキオ君から聞いていた。いまや全国的に書店の数が減り、大手チェーンばかりが目立つが、鳥取は他の県に比べて、ローカルなチェーン店や個人書店が元気なのだそうだ。撮影を中断して、味のある書店や古本屋を覗いて回るのは、楽しい息抜きだった。

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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
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