未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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「世界標準のものさし」を生んだ奇跡 水月湖の地形と年縞博物館

文= 松本美枝子
写真= 松本美枝子
未知の細道 No.150 |25 November 2019
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#3山頂公園からの眺め

翌日。昨日は三方五湖の南側から三方湖と水月湖、若狭湾までを巡ったのだが、今日は昨日とは逆のルートで三方五湖を巡りながら、年縞博物館に向かうことにした。北側から「レインボーライン」という有料道路に入ると標高400メートルほどの梅丈岳の山頂へと出る。そこにある「レインボーライン山頂公園」からは、三方五湖がとても良く見えるという情報を得たのだった。

レインボーラインの日向料金所から入るとすぐに、北側には日本海が昨日とはまた違った真っ青な色で広がっている! もうこれは絶景としか言いようがない。
さらに進むとすぐに山頂公園へとたどり着いた。山頂公園の駐車場ではここの総務課長、大宮典子さんが待っていてくれていた。

大宮さんとケーブルカーで山頂公園に上がる。眼下には三方五湖の全容が広がっていた。展望台の真下には前日に見た水月湖が見える。前日は夕暮れ時だったこともあって、湖はちょっと薄暗く、なんだか怖いような雰囲気だったが、今朝は打って変わって朝日を浴びてキラキラと輝いている。あの底に年縞が眠っているのか、と思う。
その奥には三方湖が見え、さらに東側には昨日はみられなかった菅湖、日向湖、久々子湖へとつながっているのも、よくわかった。そして水月湖のすぐ西側は山を隔てて、若狭湾が広がっている。
この山頂公園は三方五湖の全てと日本海を見渡せる絶景ポイントなのだ。

大宮典子さん

山頂全てが小さな公園となっているのだが、とてもきれいに整備されており、あちこちにすてきなイスやソファなどが設置されている。水月湖がよく見える場所には足湯まである! どこでも好きな場所に座って、三方五湖と日本海を心ゆくまで眺めることができそうだ。

小さな山頂公園を目指して、レインボーラインにひっきりなしに車が上がってくるのが見える。小さな神社、バラ園、カフェなどもあり景色以外の楽しみも多い。カップルから家族連れまでの老若男女、そして外国人まで旅行客もさまざまで、山頂は大にぎわいだ。1日に三千人以上もお客さんがくることもあるという。

実は三年前まではこうではなかった、という大宮さん。それまではとりたてて特徴があるわけではない公園だったそうだ。それが三年前から民間の社長を招聘し、「三方五湖に浮かぶ天空のテラス」という新しいコンセプトのもと、景観に特化した今の山頂公園を作り上げたのだという。

そのコンセプトを裏付けるのが、園内のあちこちに置かれたレインボー柄の晴雨兼用の傘だ。山頂は天気がいいと日差しがとても強い。今日もこの傘を差して歩く人が多かった。それにこの傘と一緒に記念写真を撮れば、画面も映えそうだ。この傘は、晴れていても雨が降っていても、ゆっくりと、そして楽しくこの景色を眺めていられるように、という山頂公園のおもてなしの心なのだ。

「この三方五湖を山頂から眺めることができる唯一の場所であるレインボーライン山頂公園を、全国の方々、世界中の方々に知っていただき、お越しいただきたい。そしてこの絶景に感動していただきたいです」と大宮さん。

これから年縞博物館に行くのだという私に「では、来た道と逆に南側を下って海山料金所から出るといいですよ、また違う景色が楽しめます」と大宮さんは教えてくれたのであった。

福井と言ったらやっぱり「鯖」! ということで大宮さんおすすめの「鯖カツサンド」をカフェでいただく。とてもおいしかった。
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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
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