未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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3分間ですくってすくってすくいまくれ! 「金魚すくい塾」で猛特訓

文= ウィルソン麻菜
写真= ウィルソン麻菜
未知の細道 No.143 |9 August 2019
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#6すくって、すくって、すくいまくれ!

塾長は、私がすくっているのをチェックしては「また傾いてるよ!」「その動きじゃ逃げちゃう」「集中して!」と、金魚の特性などを交えてアドバイスをしてくれる。そのたびに考えることが増えて、あっちこっちに意識が飛んでしまう。

それでも何度もトライするうち、だんだんと手が水に馴染み、身体に動きが慣れてきた。塾長からも褒められることが増え、ポイが破れるまでにすくえる金魚の数も確実に増えている。「素直だから、上達がはやい」と褒められて、大会出たら意外といいところまでいくんじゃないか、などと調子に乗り始めたときだ。

「じゃあ、3分やってみようか」

そうだ、大会や検定では3分間という時間のなかですくえる数が重要になってくる。破れないように、そろりそろりとすくっているだけでは勝てない。ポイを破らない程度に積極的に自分から金魚をすくいにいかなければ記録は伸ばせないのだ。

行方市民の団結のために作られた盆踊り曲『行方音頭』が流れると、途端にリズム感が保てなくなり気が散ってしまう。それに加えて「1分経過! 2分経過! あと30秒!」の掛け声にかなり焦らされる。

「3、2、1、終了!」

ふう、と息を吐き出しお椀を覗くと、ずいぶん少ない。11匹。なんとかギリギリ、予選通過だ。

隣で一緒にすくっていた塾長は、なんと67匹! 私の6倍の速さで金魚をすくっていたことになる。大会ではひとつの水槽で4人が金魚をすくう。複数人で一緒にすくうと水圧や波も変わるし、金魚も奪い合いになる。ひとりで練習しているのと大会とでは、まったく違う競技だ。

3分間ですくった私の11匹と、大河さんの67匹。

「もう一度、3分お願いします!」

自主練習を挟んでは、塾長に頼んで『行方音頭』をかけてもらう。19匹、27匹、28匹……と、上達が見えてくるほど「もっと、すくいたい!」という気持ちが増してくる。

もう少しで30匹だ。金魚すくい塾で行われる「なめきん昇級・昇段試験」では、31匹以上で初段が取得できる。私のなかで「段を取って帰る」というのが、小さな目標となっていった。

塾長が7月のランキングを見て、一言呟くまでは。

未知の細道のに出かけよう!

こんな旅プランはいかが?

「金魚すくい塾」で猛特訓 旅プラン

最寄りのICから【E6】常磐自動車道「土浦北IC」を下車
1日目
「天然屋」 で金魚すくい塾に入塾、思う存分、金魚すくいを楽しもう。すくうのが上手になれば数枚のポイで何時間もすくえる。塾長の大河さんに大技を見せてもらったり、金魚すくいのコツや豆知識を教えてもらうのも楽しい。金魚すくいの他にも本物の船を水槽代わりにした「タナゴ釣り堀船」もある。
2日目
「天然屋」のすぐ近くにある「霞ヶ浦ふれあいランド」 へ。「水」をテーマにした施設には、わかりやすく水について学べる場所がたくさん。親水公園のなかの「ざぶざぶけいりゅう」は、小さい子どもでも思いっきり水で遊べるので、水着やレジャーシートを持って泳ぎにいこう!

※本プランは当サイトが運営するプランではありません。実際のお出かけの際には各訪問先にお問い合わせの上お出かけください。

未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。