2001年11月から「活魚」として白魚を提供できるようになり、不可能を可能にしたニュースとして当時、大いに話題になった。それから19年。現在では最長でおよそ140日間、水槽で生存できるようになった。この技術をさらに活かすために、蛯名さんはさまざまな取り組みをしている。
ある時は、隅田川の水質向上などに取り組んでいる東京の市民団体、墨田川市民交流実行委員会から連絡を受けたのがきっかけで、隅田川の白魚を復活させようと、東京まで白魚を運んで50匹を放流。ある時は、白魚を展示している水族館が日本全国で2つしかないと知って、自ら東京の水族館に売り込んで、しながわ水族館での展示に漕ぎつけた。現在は、地元の小中学校に白魚を提供。透明な白魚は顕微鏡でのぞくと骨格などが良く見えるため、子どもたちに喜ばれているそうだ。
いち料理人の枠を超えて、白魚と二人三脚で22年。「かれこれ、白魚には1500万円ぐらいつぎ込んだかな。ぜんぜん儲かんないけど、私は猪突猛進型だから(笑)。普通の人にはできない経験をしてるしね!」という蛯名さんは、とても良い笑顔をしていた。