未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
136

気分は『ニュー・シネマ・パラダイス』

100歳越えの現役映画館で過ごす贅沢な休日

文= 小野民
写真= 小野民
未知の細道 No.136 |25 April 2019
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#6ここはどこ? 映画の世界と溶け合って

 さて、映画館を案内してもらい、話を聞いているうちに、私がチケットを買った映画『世界一と言われた映画館』の上映時間になった。この映画は、山形県の酒田市にあった映画館にまつわるドキュメンタリー。大火で焼けてしまったという、趣ある映画館の思い出がスクリーン上で語られると、世界館に漂う雰囲気となんだか似ていて、夢と現実が溶け合うような感覚に襲われた。それがすごく心地よくてウトウトしてしまったのだけれど……。それはとても贅沢な時間だった。

 「平日に息抜きに映画館に来るってことが、もっと当たり前になってほしいです。そのためには、すごく遠回りに聞こえるかもしれないけれど、日本人は働きすぎ。大人がもうちょっと自由に休みが取れるようになるといいですね」と上野さんは言った。映画館の存続と働き方、意外な接着点だったけれど、「それは確かにそうですね!」と鼻息荒く私も賛同した。

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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。