未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
134

あの日、寂れた街が劇場になった!

イクオさんが野毛・大道芸とともに歩んだ30年

文= 川内有緒
写真= 川内有緒
未知の細道 No.134 |25 March 2019
この記事をはじめから読む

#6「道」が劇場になった!

初期の頃の野毛大道芸フェスティバルで。
この後、服に火が燃え移ってしまった。

 こうした経験から生まれたのが、野毛大道芸フェスティバルの前身となる「横浜野毛祭(1985年)」だ。路上でアートや音楽、大道芸を披露するイベントで、仲間内のちょっとした酒の上の会話から「やろう!」と盛り上がり、自然発生的に始まった。

 ちょっと話はそれるが、「野毛大道芸フェスティバル」の公式HPに掲載されている初期の立ち上げメンバーの座談会がめっぽう面白い。その中で、同じく初期のフェスティバル・プロデューサーの福田豊さん(野毛で中華料理屋を経営)は、「あの頃、僕らが使えるものは“道”しかなかった」と振り返っている。
 僕らには“道”しかない、というカッコいいメタファーでもなんでもなく、「野毛には広場もなかったし、横浜にぎわい座もなかった。それで、やるとなったら道しかねぇだろうと」(福田豊さん)。

 そう、野毛にはそれくらい何もなかった。イクオさんも当時こう感じていた。

 この街はもう寂れきってて、失うものがないからなんでもやっちゃおう!

このエントリーをはてなブックマークに追加

未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。