1時間後、温泉からあがり、私たちはまた池谷分校へと戻っていった。夕方になって、雪はますます降り続いている。長湯した体はすっかりポカポカだ。そして、なんだかもう喉が渇いている。
そう、この渇きを癒すには、新潟の美味しい水を凍らせて作った、あのかき氷が食べたい……。みんな考えていることは同じである。帰ってすぐに暖かくした分校の中で、私たちはまたかき氷を、ひとしきり食べたのであった。
そして体が冷えた頃に、美佳さんが用意してくれた鍋をみんなでいただいた。 地元産の野菜や豚肉、地ビール……と新潟の美味しいものが、これでもかと並んだおいしい晩御飯だ。なによりお米が美味しい。このお米は「山清水米」と名付けて、池谷集落に元々住む農家と 多田さんや安藤さん、NPOのインターンがきっかけで移住し、 農業を学んでいる森さんたちがこの集落で作っているブランド米なのだ。今は分厚い雪の下だが、雪が解けて春になれば、この集落には美しい棚田の風景が広がるのだという。
そんな話をしながら鍋をつつき、体があたたまると、またデザートとしてかき氷。これはもう「エンドレスかき氷」である。
「人生でこんなにかき氷食べたことは、これまでありませんねえ」「うん私も」「またやりましょうよ!」と誰もが笑いながら口を揃えた。真冬の豪雪地帯で開かれたとは思えない、夢のようなかき氷パーティだったのである。
さて楽しかった夜もお開きになった。私はこのままこの分校に一人で泊らせてもらうことになった。山奥の分校にたった一人で泊まるなんて、滅多にない経験だろう。しかしそんな貴重な経験を十分に堪能する間もなく、3枚に重ねた寝袋の中で、私はあっという間に眠りに落ちていった。雪の中でたくさん作業をしたので、体はすっかり心地よい疲れに満たされていたからである。