福島駅から車で約40分。国道114号線の富岡街道をひたすら南下していくと、通り沿いに「絹の里 やまきやスケートリンク」という看板が目に入る。田んぼに張った水を凍らせてスケートリンクにしたこの場所は、親しみを込めて「田んぼリンク」と呼ばれている。
天然氷の屋外スケートリンクは日本国内にいくつかあるけれど、田んぼを利用しているところは日本でも珍しいだろう。しかも1984年からこれまで地域の有志の力で運営されているのだ。利用料は靴のレンタル料を含めて大人500円、高校生以下200円(一般開放は土・日曜で、平日は5人以上の利用で要予約)。営利目的ではないことがわかる。
この田んぼリンクの立ち上げメンバーのひとりが「川俣スケートクラブ」の副会長、大内秀一さん。リンクづくりに携わるようになったきっかけは、ファミコンだった。
「うちは3人息子がいるんだけど、ある日、ファミコンを買ってほしいと言ってきたんだ。でもおれは、いくら寒くても子どもは外で遊ぶもんだと思っていたから、買わなかった。そうしたら、隣の家の子どもが持っているファミコンをやりにいくようになってね。どうにかならないかと思ってたんだ」