未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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36年間守り続けた天然氷のスケート場

田んぼリンクで夢をみる。

文= 川内イオ
写真= 川内イオ
未知の細道 No.131 |8 February 2019
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#2きっかけはファミコン

 福島駅から車で約40分。国道114号線の富岡街道をひたすら南下していくと、通り沿いに「絹の里 やまきやスケートリンク」という看板が目に入る。田んぼに張った水を凍らせてスケートリンクにしたこの場所は、親しみを込めて「田んぼリンク」と呼ばれている。

 天然氷の屋外スケートリンクは日本国内にいくつかあるけれど、田んぼを利用しているところは日本でも珍しいだろう。しかも1984年からこれまで地域の有志の力で運営されているのだ。利用料は靴のレンタル料を含めて大人500円、高校生以下200円(一般開放は土・日曜で、平日は5人以上の利用で要予約)。営利目的ではないことがわかる。

 この田んぼリンクの立ち上げメンバーのひとりが「川俣スケートクラブ」の副会長、大内秀一さん。リンクづくりに携わるようになったきっかけは、ファミコンだった。

 「うちは3人息子がいるんだけど、ある日、ファミコンを買ってほしいと言ってきたんだ。でもおれは、いくら寒くても子どもは外で遊ぶもんだと思っていたから、買わなかった。そうしたら、隣の家の子どもが持っているファミコンをやりにいくようになってね。どうにかならないかと思ってたんだ」

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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
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