翌日は、起きてすぐに古川さんの島をまたぎ3カ所に点在する畑へ。そのうち、一カ所の畑は、昨夏の西日本の豪雨で被害を受けた。そのときの状況を、古川さんはフェイスブックページでこのように語っている。
崩落した山の筋をたどってみると、水の筋が目詰まりしていたのがよく分かります。中腹にあった砂防ダムが水と空気の流れを遮断していて(周辺の土が臭い)、さらに雨水を海に流すはずの側溝は出口が海の砂で3分の1ほど詰まっていて、排水ができないようになっていました。
「まるふ農園」フェイスブックページより引用
それから1ヶ月、人力で土砂やそこに巻き込まれて運ばれてきたイノシシ避けの柵の残骸やゴミなどを運び出し続け、その後小型のショベルカーで造成して、なんとか畑のかたちを取り戻したという。
「友達が手伝いに来てくれたんだけど、暑いし本当に大変でした。もともとの畑とは土質もまるで変わってしまったけれど、やっとまた少しずつ野菜もできるようになってきたところです」と古川さん。
災害に遭ってしまった畑の再生のほかに、長いこと手入れをされず荒れ果てた耕作放棄地の開拓も古川さんは手がける。自給自足に近づくために稲作に挑戦したいと、すでに埋められて畑になってしまった耕作放棄地にスコップを入れ、友人らと共に小さな田んぼも手作りした。大型機械を使って効率的にできる田んぼと違い、地形に合わせて作った田んぼは日々の手入れや収穫も手作業が多く手間がかかる。
普段デスクワークばかりして頭でっかちな私にとっては、どこにどう手をつけていいか分からないような、途方もない仕事だ。でも、自分が日々食べているものは、こういう自然と人間の真ん中をひたすら耕すことから生まれているのだろう。
最後に、育った野菜を収穫させてもらった。食べものが生まれる場所ってなんとも気持ちがいい。