外に出ると、すでに街には夕闇が訪れようとしていた。あちこちに料亭やスナックがあり、ポツン、ポツンと明かりが灯り始めている。かつては宿場町として相当に賑わっていたんだろうなあと思いながら、地図を広げて歩みを進める。
ちょうどお腹が空いてきたので、お勧めのガレット屋、Café Tacにちょっと寄り道。パリの裏通りのカフェのような佇まいの店内に入ると、親切なご主人が、「これ、どうぞ」とオレンジジュースをサービスで出してくれた。ここら辺の人たちは、誰も彼もが優しいのは、いにしえの宿場町文化の名残だろうか。
ボリューム満点の本格的なガレットで腹ごしらえが済むと、本日最後の目的地、「新湯」に向かった。旦過の湯の脱衣場で、「私がここら辺で一番好きなのは『新湯』。あの雰囲気が好き!」と熱烈に勧めてくれたお客さんがいたのだ。
月を見ながら坂道を下ると、ぽっと明かりがついた一角があり、お風呂セットを持った男の人が建物から出てきた。看板には、「新湯」。『神田川』さながらの懐かしい風景にしばし見入った。
名前からすると新しそうだが、『新湯』の創業は昭和2年(旦過の湯の鎌倉時代に比べたら確かに新しい)。ここも、入り口には番台と下駄箱あった。お金を払いながら、そういえばここまでの3軒は、すべて入浴料金が230円だったと気がついた。料金さえも昭和で止まっているみたいだ。
未知の細道の旅に出かけよう!
古くて新しい諏訪の名所や地元の人々に出会う旅1泊2日。
予算の目安1万5千円〜
※本プランは当サイトが運営するプランではありません。実際のお出かけの際には各訪問先にお問い合わせの上お出かけください。
川内 有緒