長野県下諏訪町
下諏訪は、全国でも珍しいほどの公共浴場の密集地帯。番台のあるレトロなお風呂屋さんから、露天風呂、打たせ湯、足湯まで選びたい放題。ゲストハウスに泊まりながら、歩いて温泉巡りをしてみれば……いろんな世代の諏訪の人たちと知り合えて、心も体も芯からホカホカ!
最寄りのICから長野自動車道「岡谷IC」を下車
最寄りのICから長野自動車道「岡谷IC」を下車
空に月が昇り始めた夕暮れに、ポッと温かな光が灯っていた。ノスタルジックなサインには「新湯」の文字。暖簾の奥では、30年くらい前からここにいるかのようなおばちゃんがどっしりと番台に座っていた。
大きなシャンプーボトルが入った「お風呂セット」を持った男女が、番台の右左に別れていく。浮かんできたのは、「あなたは、もう忘れたかしら〜♫」という『神田川』の一節。
私も、吸い込まれるように「ゆ」と書かれた暖簾をくぐる。料金はたったの230円。
料金すらも『神田川』だなあと嬉しくなったが、いや、ここは神田川なんかじゃないし、1973年でもない! ここは、2017年の長野県の下諏訪である。
「下諏訪には、歩いていける範囲に温泉の公共浴場がいっぱいあるんだよ!」 旅好きの友人がそう教えてくれたのは、この旅の一ヶ月ほど前のことだった。私が、「上諏訪のリビセン(リビルディング・センター)に行くんだ」と話した直後だったと思う。
へえ、そう…….でも、温泉くらいどこにでもあるし、という私の心を読むように、友人の言葉はこう続いた。
「入っているのはみんな地元の人ばっかりで、毎日のようにお気に入りのお風呂屋さんに通うんだって!」
えっ、そうなの? この平成の時代に?
調べてみると、確かに江戸時代の下諏訪は中山道随一の温泉宿場町。おかげで、今も九箇所の共同浴場、そして五箇所の足湯がギュウギュウとひしめいている。しかも、朝の5時半から夜10時、11時までという驚きの長時間営業である。
朝の5時半って早すぎない!?
東京でも地方でも、小さな公共浴場は風前の灯火である。理由は、シンプル。時代は昭和から平成になり、もうほとんどの家にお風呂が整備されたからだ。下諏訪だってきっと例外ではないはずなのに、どうやって賑わいが保たれているのだろうか。
よし、温泉巡りをしてその魅力を確かめてみよう。というわけで、今回は一泊二日の下諏訪温泉物語である。
未知の細道の旅に出かけよう!
古くて新しい諏訪の名所や地元の人々に出会う旅1泊2日。
予算の目安1万5千円〜
※本プランは当サイトが運営するプランではありません。実際のお出かけの際には各訪問先にお問い合わせの上お出かけください。
川内 有緒