「アジサイとヒマワリとコスモスが一緒に咲いている」
夏の北海道をそう表現する人がいた。関東では、梅雨に咲くアジサイが夏の始まりを予感させ、真夏のヒマワリが花火と同時に花開き、夏の終わりのコスモスに秋の準備をする。季節の移り変わりをカレンダーより色鮮やかに教えてくれる野の花だが、北海道では勝手が違う。夏があまりに短いからだ。その狂い咲きっぷりは「人」にも当てはまるのかもしれない。
さっぽろ大通ビアガーデン。その規模は日本最大級と言われているが、もはやダントツNo.1であろう。全長1.5kmの大通公園に13,000席。その熱気はススキノにまで飛び火していて、通りという通りが歩けないほど、人、人、人。これまで北海道を旅して、地方の人の少なさを目の当たりにしてきたぶん、余計に違和感を感じる。調べてみると、やはりと言うべきか北海道の人口の3分の1以上が札幌に集中しているようだ。それほど多くの人たちが一堂に会して、短い夏をむさぼり食う。その光景もまた絶景には違いない。
----都市には都市の、夏には夏の絶景あり。----
ライター 志賀章人(しがあきひと)