神奈川県出身で、「たまたまいい物件があって」芝商店会に加わったという長川さんに、「芝辛・激辛ストリート」誕生の物語を詳しく聞いた。
「ここはオフィス街で、平日昼間のランチ需要はあるんですけど、それ以外の時間帯はあまり人がいないんです。それでもっと盛り上げたいと思っていた2011年頃、新しく商店会に入った『芝の鳥一代』さんが、当時世界で一番辛いと言われていたブート・ジョロキアをバングラデシュから仕入れるルートを持っているという話から、激辛でまちおこしをすることになりました」
――反響はいかがでしたか?
「ぜんぜんでしたね(笑)。激辛って好きな方はすごく好きなんですけど、万人受けするものではないでしょう。そのうえ、デジタルとかも疎かったので、なかなか知ってもらえなかったですね」
――どうやってテコ入れしたんですか?
「6年ほど前、役員会で反響も少ないし、この先どうしようかっていう話になったんです。その時、僕が中途半端にやるならやめたほうがいいと言ったら、それなら長川がやれという話になりまして(笑)。それからホームページを作ったり、スタンプラリーを始めたりして、少しずつ認知されるようになりました。埼玉や栃木からここに来るお客さんもいるんですよ」
――それはすごいですね!
「本当はもっとお客さんを呼びたいんですけどね。この商店会の主力のお客さんは近隣で働いている人なので、土日は閑散としているんですよ。それで土日休みのお店も多くて。休日にお客さんが来ても、お店がたくさん閉まっていたら寂しいじゃないですか。それがジレンマです」
――ちなみに、『はらぺこDINING』ではどんな激辛フードを出しているんですか?
「チキン南蛮です。試作の時、今あるメニューをぜんぶ辛くしてみたんですよ。それで一番おいしかったチキン南蛮にしました」
――のぼりが出ていない店も、激辛フードを提供しているんですか?
「はい。ホームページに掲載されている店なら、激辛ありますか? と聞いてもらえれば、出してくれると思います」
――激辛担当として、これから「芝辛・激辛ストリート」でやってみたいことはありますか?
「京都の激辛商店街とコラボしたいですね。芝商店会で京都のメニューを出したりしたら、面白そうじゃないですか? あと、去年から茨城県阿見町の農地法人さんから野菜を仕入れて八百屋を始めたんですよ。それで現地にもたまに行くんですけど、そこで辛い唐辛子を作ってみたいですね。茨城で作った産直の唐辛子で激辛ストリートができたらいいな」
京都とのコラボも、茨城産の唐辛子も、実現したら話題になりそうだ。「芝辛・激辛ストリート」のポテンシャルを感じつつ、長川さんの八百屋を後にした。