僕もヒナエちゃんも、これまであんこのたい焼きしか食べたことがない。「激辛たい焼き、食べてみてどう感じました?」と会長に尋ねたら、その回答にズッコケた。
「食べたことない。辛すぎて、せき込んじゃうんだ。身体に悪いからね。強い人はいいけど」
食べたことないんかい! という関西弁のツッコミが喉まで出かかったけど、なんとか控えた。
「課長さんとか部長さんがさ、たい焼きを何個か買ってそのうちのひとつを激辛にしてね。たい焼き買ってきたよ~って部署の人に渡して、ひとりだけ激辛になって、その人がギャーってなるいたずらを仕掛ける人もいるよ」とニヤリ。
どんだけ辛いのかとだんだん不安になってきた頃に、「はい、どうぞ」と渡された。この後に激辛ランチが待っているので、一匹(180円)を半分に割り、ヒナエちゃんとシェアする。
いざ、実食! おっ! これはいける! 恐れを見せず、パクっと頬張ったヒナエちゃんのコメントが、すべてを表していた。
「たい焼きの皮がナンみたい! おいしい!」
まさに、ナンにカレーを包み込んで食べているようで、違和感ゼロ。ホカホカのたい焼きの皮とピリ辛のキーマカレーが相性バッチリ! 会長に「おいしかったです!」とお礼を告げて、僕らはストリートを歩き始めた。