群馬県下仁田町
群馬県下仁田町が昨年12月に公開したPR動画には、「ネギとかこんにゃくばっかり有名だけど、ほかに何もない町……」というフレーズがあった。その自虐的な表現が気になって、下仁田町を訪ねることにした。テーマは「ネギとこんにゃく以外、本当に何もないのか?」。町の素顔を知るために、完全アポなしで取材を敢行した。
最寄りのICから上信越自動車道「下仁田IC」を下車
最寄りのICから上信越自動車道「下仁田IC」を下車
気になる町があった。
下仁田町だ。え、どこ? と思う読者もいるかもしれない。群馬県の南西部に位置する人口8000人ちょっとの小さな町である。僕も「下仁田ネギ」ぐらいの認識しかなかったんだけど、ある動画がきっかけでこの町に注目するようになった。
1年前の2015年12月。ほかの多くの地方の市町村と同じく人口減少に悩む下仁田町が、移住者、定住者を増やそうと制作したPR動画「人と町の風景」をYouTubeに公開した。その動画には町の人々が登場し、のどかな風景をバックに、ニコニコしながらこの動画のために作られたオリジナルソングを歌ったり、踊ったりしているのだが、その歌詞が「歩いてる人もまばら……」「見渡せば、岩と山と取り残されたような町並み……」「ネギとかこんにゃくばっかり有名だけど、ほかに何もない町……」という正直すぎる内容なのだ。
それがネット上で「自虐的!」として話題になると、メディアにも広く取り上げられるようになり、公開から1年が経ってYouTubeの視聴回数は8万5000回を超えた――。すいません、正直この数字が多いのか少ないのかわからないんですが(笑)、なんといっても僕はこのオリジナルソング(名曲!)の「下仁田、オオオオ、下仁田、オオオオ、何もない町♪」というサビの歌詞が妙に耳に残り、気づけば口ずさむようになってしまった。
それである日、ふと思った。
「で、下仁田ってどんなとこなんだ?」
飛んで火にいる夏の虫! 町の戦略にまんまと引っかかった僕は一路、下仁田へ。自宅の最寄り駅から1時間40分で、高崎駅に到着。駅前で車を借りた僕は、YouTubeを流して「下仁田、オオオオ、下仁田、オオオオ、何もない町♪」とハミングしながら、「本当に、ネギとこんにゃく以外何もないのか?」という疑問を晴らしに下仁田町に向かった。
川内イオ