未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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これからの豊かな暮らしとは?

MeLikeと一緒に考える旅

文= 志賀章人
写真= 志賀章人、編集ひとり(Melike)一部提供
未知の細道 No.60 |20 January 2016
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#5ひとりさんが旅に出た理由とは @農カフェhakari

MeLikeでは、編集後記として「ローカルランチ」を取り上げている。いつもWebサイトを見ながら「よくそんなお店を見つけたなぁ」と呟いていたのだが、その方法は意外である。以下、原文ママで紹介したい。

都心の感覚でいると痛い目に合うのが地方での朝ごはん。何か食べたいと思って店を探せど、どこも準備中。ようやく見つけらるのは地元のコンビニ風雑貨店。せっかく山海の幸の豊かな土地に来て、コンビニのパンとかで済ませたくないのが旅人の心情というもの。そんな時、どうするか?旅人の野生の感を研ぎ澄まして…、Siriに聞いてみる(笑)。

「近所…。飲食店…。」 「ハイ。コチラガミツカリマシタ。」

ほぼネタとして書いてるとしても、“Siri”でいいの!? と思わずツッコミを入れたくなってしまう。その記事にある写真がまぁウマそうなのだ。ちなみに上記の記事でSiriが見つけてきたのは近所の漁港。ひとりさんは「地方で朝ごはんに困ったら漁港を目指せ!」という教訓を得たという。

「ローカルランチの旅についていきたい!」とお願いすると、ひとりさんが連れて行ってくれたのが「農カフェhakari」。こちらはSiriではなく、現地の人に教えてもらった場所だという。いつも冷凍食品や牛丼ばかり食べている僕にとって、マクロビランチは新鮮だった。

ただ美味しいだけではなく、食に対して見直したくなる気づきをたくさん与えてもらえる場所だった。MeLikeでも詳細に書かれているので、ここでは多くを語るまい。食事も終わったところで、ひとりさんが旅に出た理由を聞いてみる。

「ちょうど40歳になった年に震災が起きたんです。そのとき、幸せに感じること、素敵に思うこと、かっこいいと思うこと、自分の価値観が大きく変わってしまって。魅力的に思えたのは生きる術を身につけている人。農家や漁師、大工さん、そんな方々の生き方だったんです。じゃあ都会の生活を捨てて、一次産業に従事する生き方に身を投じればよいかといえば、それは違う気がして。それはそれで、今までの自分を否定することになってしまう」

なんと、ひとりさんも僕と同じ悩みを持っていた。

「そんな中、都会の第一線で活躍している方々が、地方に移住して面白い取り組みをしているというニュースが出てくるようになって。“都落ち”と言われるようなネガティブなイメージではなく、むしろイケてる、前向きなスタイル。単に利益を上げるだけではなく、社会的な課題も解決していて、地域創生のニーズにも応えることにもなる。これだ! と思ったんです。都会のスキルを活かして地方で活躍している人たちに会って、これからの豊かな暮らし方のヒントを教えてもらおう! そう思ったら居ても立ってもいられなくなってしまって」

東京で企業勤めをしているひとりさんは、新卒20年来、同じ企業でこつこつと働いてきた。それでも、あえて一時休職してMeLikeの旅に出ることを決めた。

「日本各地で学ばせてもらった暮らし方のヒントを多くの人とシェアしたい。そう思ってWebサイトを立ち上げました。こうして、これからの豊かな暮らしを探求する旅に出ることになったんです」

と、ここまでお話を聞いたところでタイムアップ。SUNKING Cafeの卓さんに正式取材をする時間が迫っていた。というわけで再びバンに乗り込み走り出す。

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未知の細道 No.60

ライター 志賀章人(しがあきひと)

「え?」が「お!」になるのがコピーです。
コピーライターとして、核を書くことで、あなたの言葉にならない想いを言葉にします。
京都→香川→大阪→横浜で育ち、大学時代にバックパッカーとしてユーラシア大陸を横断。その後、「TRAVERINGプロジェクト」を立ち上げ、「手ぶらでインド」「スゴイ!が日常!小笠原」など旅を通して見つけたモノゴトを発信中。次なる旅は、夫婦で世界一周!シェアハウス暦8年の経験から、子育てをシェアする未来の暮らしも模索中。
伝えたいことを、伝えたいひとに、伝えられるようになる。そのために、仕事のコピーと、私事の旅を、今日も言葉にし続ける。
「新聞広告クリエーティブコンテスト」「宣伝会議賞」「販促会議賞」など受賞・ファイナリスト多数。

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「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
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様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
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