未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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[ 第50回特別企画 ]まだ見ぬ絶景をドライブ! 未知の絶景 [ 後 編 ]

文= 志賀章人
写真= 志賀章人
動画撮影= 株式会社ネクスコ東日本イノベーション&
コミュニケーションズ

未知の細道 No.51 |20 September 2015
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#EXまぶたが一番のシャッターだ

下を見るくらいなら目を瞑ったほうがマシだ。ガシャガシャと鎖を揺らしながら、一手ずつ、一歩ずつ。緊張と筋肉痛が頂点に達したそのとき、崖の頂点に手が届く。最後の力を振り絞って足を上げて半身になり、一気に崖の上に転がりこむ。あご先の汗をぬぐって顔を上げると、目の前に本殿があった。そして後ろを振り返ると、そこには伝えようのない絶景が広がっていた。過剰なアドレナリン分泌に加えて達成感も安心感も。クライマーズハイで目にした光景は写真には写せない。

興奮冷めやらぬ気持ちで、本殿に向かって手を叩く。「無事に帰れますように!」それ以上の願いごとは思いもしなかった。そして気づく。「これ、どうやって降りるんだ?」一瞬にして冷や汗がTシャツの色を変えていく――その後も地獄が続くのだが書く必要はないだろう。太田神社は絶対にオススメしないし、どんな場所でも自分で辿り着いた場所には絶景がある。それが言いたかったのだから。

前編と後編をあわせると絶景の数は20カ所。それぞれ写真も掲載してきたが、僕はカメラを買ったばかりの素人である。だからきっとあなたが訪れたときには、もっと美しく、もっと心動く絶景が見られるはずだ。何よりきっと、自分のまぶたが一番のシャッターであるはずだから。

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まだ見ぬ絶景をドライブ!
未知の絶景 [ 後 編 ]

ライター 志賀章人(しがあきひと)

「え?」が「お!」になるのがコピーです。
コピーライターとして、核を書くことで、あなたの言葉にならない想いを言葉にします。
京都→香川→大阪→横浜で育ち、大学時代にバックパッカーとしてユーラシア大陸を横断。その後、「TRAVERINGプロジェクト」を立ち上げ、「手ぶらでインド」「スゴイ!が日常!小笠原」など旅を通して見つけたモノゴトを発信中。次なる旅は、夫婦で世界一周!シェアハウス暦8年の経験から、子育てをシェアする未来の暮らしも模索中。
伝えたいことを、伝えたいひとに、伝えられるようになる。そのために、仕事のコピーと、私事の旅を、今日も言葉にし続ける。
「新聞広告クリエーティブコンテスト」「宣伝会議賞」「販促会議賞」など受賞・ファイナリスト多数。

未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。