未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
210

脱サラしてヤギを飼い、チーズを作る。 東京生まれのシェーブルチーズはいかが?

文= 川内イオ
写真= 川内イオ
未知の細道 No.210|25 May 2022
この記事をはじめから読む

#5牛の牧場でヤギを飼う

ヤギのチーズで勝負しようと決めた堀さんは、丸2年で修行を終え、2018年6月に帰京。すぐに土地探しに着手し、同時進行で東京・八王子にある磯沼ミルクファームでの研修がスタートした。東京で新規就農するためには、現場で2年間の研修を受けなくてはいけないのだ。

磯沼ミルクファームは牛の牧場だったので、堀さんはオーナーの許可を得て、牧場の一角に小屋を建てて妊娠した雌ヤギを一頭、飼い始めた。ミーちゃんと名付けたヤギは次の春、双子の雌ヤギ(イソちゃん、ヌマちゃん)を生んだ。

堀さんが初めて飼ったヤギのミーちゃん。今も元気に過ごしている。

子どもを産むと、乳が出る。磯沼牧場にはヨーグルトを作る施設があるので、そこを使わせてもらい、初めてヤギのチーズ「シェーブルチーズ」を作った。それは、牛の乳を使ったチーズを作る時とは異なる感覚だったと振り返る。

「ミルクの雰囲気が違うんですよ。人から聞いた話で、自分でやってもそう感じるんですけど、牛より繊細だと思います。牛に比べて脂肪の粒が細かいんですよね。その分、チーズにした時の反応が繊細だと思います」

ミーちゃんの乳を使ったシェーブルチーズを磯沼牧場の人たちに食べてもらったところ高評価を得て、牧場に併設のショップで販売させてもらった。それを手に取ったお客さんの反応も良く、堀さんは自信を得た。

土地探しも、順調だった。故郷のあきる野市は自然豊かで、山も多く、土地勘もある。当初から地元で土地を見つけられるかもしれないと思って問い合わせていたら、北海道から戻ってすぐの2018年9月頃には現在の養沢ヤギ牧場がある約1ヘクタールの土地と建物を紹介された。研修があるためすぐには借りられなかったが、月々1万円を支払う形で仮予約した。

「近隣ともいい感じに離れているし、家の裏に小屋があって、それをチーズ工房にすれば放牧場と住まいと職場が一カ所にまとまるので、すごく便利だと思いました」

未知の細道のに出かけよう!

こんな旅プランはいかが?

東京生まれのシェーブルチーズを味わう旅

最寄りのICから【C4】首都圏中央連絡自動車道「日の出IC」を下車
1日目
秋川渓谷にある大岳鍾乳洞で遊ぶ。大岳鍾乳洞併設のキャンプ場で1泊。

大岳鍾乳洞
2日目
武蔵五日市駅前で開催される「五市マルシェ」で養沢ヤギ牧場のシェーブルチーズを味わう。2023年からは子ヤギのミルクやり体験ができるかも!

五市マルシェ

※本プランは当サイトが運営するプランではありません。実際のお出かけの際には各訪問先にお問い合わせの上お出かけください。

未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。