山形県尾花沢市
高校の卒業旅行を皮切りに、これまでさまざまな場所を訪れた親友とのふたり旅。そのなかから今回は、山形県にある銀山温泉を訪れたときのことを振り返る。貧乏旅ばかりだった私たちが少し背伸びをして訪れた憧れの温泉街や、あるハプニング後のお風呂。 長風呂ばかりだった、友との山形の旅を綴った。
最寄りのICから【E13】東北中央自動車道「東根北IC」を下車
最寄りのICから【E13】東北中央自動車道「東根北IC」を下車
「旅の“行き先”と、旅を共にする“人”、どっちが大事だと思う?」
旅先に向かう夜行バスや電車、飛行機のなかで、私と親友はよく同じ会話を繰り返す。旅のいいところは、どこに行くにも数時間はかかることだ。この長い移動時間が、私たちにとっては「いくらでもおしゃべりを許された時間」となる。
「そりゃあ、もちろん“人”だと思うよ。一緒にいて楽しくない人とは、どこ行ってもつらいでしょ」
「だよねえ」
何度も繰り返した話題だけれど、お互いの考えを確かめるように頷き合う。そこから私たちのおしゃべりは大抵、目的地に着くまで止まらない。今回の目的地は、山形県尾花沢市だ。普段は夜行バスばかりの私たちが、珍しく新幹線に乗っている理由。それは、今回が私たちにとって初めての「オトナの贅沢旅行」だからだ。
親友とは、高校時代、同じ吹奏楽部でサックスを吹いていた。その頃は休みらしい休みがなく、旅行と言っても部活の仲間と行く遠征がほとんど。行き先は前々からわかっており、朝から晩までスケジュールがみっちり決められていた。時には観光も組み込まれていて、それはそれで楽しかったけれど、正直、連れて行かれるがままという感じはあった。
だから、私たちは「ふたり旅」にハマったのだと思う。
「ここ、行ってみたい」「いいね、行こう行こう!」
「これ、食べてみたいんだよ」「私も!」
ガイドブックを覗きこみながら、行き先も、見たいものも、泊まる場所も、全部ふたりで決める。だからこそ、実際に辿り着いたときの達成感は、先生に引率されてバスで連れて行ってもらっていたそれとは比べ物にならなかった。
「山形に行こう」と言い出したのは、どちらだったかあまり記憶がないけれど、親友が『一生に一度は行きたい絶景』のような本に載っている、なんとも幻想的な写真を見せてくれたのがきっかけだった気がする。
「この銀山温泉、映画に出てくるみたいな景色だよ。宿も高そうだけど、一度は行ってみたいね……」
試しに宿を調べてみて、顔を見合わせる。高い。
当時、社会人になりたてだった私たちにとって、宿はなるべくお金をかけない部分だった。それなら、美味しいものを食べたり、お土産を買ったりしたい。だから、ビジネスホテルで小さなベッドにふたりで寝たり、古い民宿で虫に怯えたこともあった。
でも、貧乏旅行は大学生までだ! せっかく働いてお金を稼いでいるんだもの。年に一度のふたり旅くらい、ちょっと贅沢してもいいはず。
お互いにそう言い聞かせ、私たちは山形県にある銀山温泉の旅館を予約したのだった。
未知の細道の旅に出かけよう!
蛙の大合唱を聴きながら・・・山形の湯の旅
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