宮城県栗原市
凍らない水場と、豊富な餌。多くが遠くロシアで生まれるガンや白鳥などの渡り鳥にとって、日本の自然環境は生きる上でなくてはならない場所だ。短い夏に生まれ、やがて長く凍てつく冬を越すために、約4000キロもの旅を経て日本の湖や沼に飛来する。その飛来地のひとつである宮城県栗原市の伊豆沼・内沼の最盛期のガンの数は10万羽。なぜこんなにもこの土地は渡り鳥を惹きつけるのか。専門家が案内するツアーに参加してみた。
最寄りのICから【E4】東北自動車道道「築館IC」を下車
最寄りのICから【E4】東北自動車道道「築館IC」を下車
「日本一」という言葉には、どうも反応せずにはいられない。日本一高い山・富士山、日本一大きい湖・琵琶湖といった自然系、さまざまな建造物など、日本一と聞くとこの目で確かめたい気持ちに駆られるのだ。
自分が生まれ育った宮城県の県北について私は、「本当に突出したものがないなぁ」なんて思っていた。「宮城出身です」と言っても、「あぁ、仙台ね」と言われるのが常なことも影響していただろう。
だけど、なにかの折に聞いて一瞬にしてロマンチックな気持ちにさせられたのが、「宮城には日本一たくさんの渡り鳥が来ているらしいよ」という事実だった。
その後知ったことには、多くのガンが飛来するのが栗原市にある伊豆沼・内沼だという。多い時には10万羽のガンがねぐらとし、ひしめき合う。そのねぐらから飛び立つ「飛び立ち」の羽音と鳴き声は「日本の音風景100選」にも選ばれているという。
「ここでしか見られない景色。ぜひ体験してみて」と、公民館の俳句講座の吟行で飛び立ちを目撃した母の談。地元である宮城県民でも、イベントにしないとなかなか足を運ばないのだ。見られるのは、冬の早朝。寒いだろうな、起きられないだろうな、と二の足を踏んでいたのだが、ついにこの目で確かめてみようと計画した。