福島・宮城
東京から宮城までを結ぶ東日本の大動脈の一つ、常磐自動車道。震災を乗り越え、2015年に再び全線開通してから約二年半。東日本に住む多くの人にとっては身近かもしれない高速道路、常磐自動車道を北上しながら、初めて聞く音、素敵な音、そして懐かしい音を探しに行く旅、後編。
頭上を走る車の音を、高架の下で聞いた
私は今、常磐自動車道の高架の下で、色づいた田んぼが広がる風景を眺めている。この風景を撮影しようと思って、車から降りてみたのだ。
頭のはるか上の高速道路は、おそらく片側一車線の対面通行の部分だろうか。シューッ、シューッと自動車が通り過ぎる音が、高く長い橋脚を伝わって聞こえてくる。その響きはなんだか波の音にも似ていて、不思議に心地よくて、思わず立ち止まって聞き入ってしまった。車が通り過ぎる音とともに、足元からは秋の野原を彩る虫の声が聞こえ、少し遠くからは、きっと誰かが草を刈っているのだろう、草刈機が低く唸る音が重なっていく。
ここは福島県浜通りの南にある町、広野町。常磐自動車道広野ICの近くだ。埼玉、千葉、茨城を抜け、そしてここ福島から宮城へと続く東日本の太平洋側の大動脈の一つである常磐自動車道は、JR常磐線や国道6号線と並行しながら、この広い地域に住む人々の移動と発展を担ってきた。
そんな常磐自動車道の一部が使えなくなった期間があった。あの東日本大震災の影響である。この町にある広野ICから、この北にある富岡ICまでの常磐自動車道は、まさに二年前まで震災の影響により、通行止になっていたところだ。現在は全線開通している。
2015年に常磐自動車道が再び全線開通してから、すでに二年半が経とうとしている。人々が南から北へ、北から南へと行き交うなかでの、普通の風景とはどんなものなのだろうか。そしてその風景の中に散りばめられた、人々の生活が奏でる音や、自然が作り出す音を聞いてみたい。その音を聞いて、そこにいる人々の暮らしや風景を想像したい。
常磐自動車道を北上する旅、後編のスタートだ。
未知の細道の旅に出かけよう!
常磐自動車道を南北縦断!(福島・宮城編) 2泊3日
予算の目安3万5千円〜
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松本美枝子