2012年の夏、一枚のポスターを見て訪ねてきたソ連生まれの大学生から、5年後、ミードでコラボしようと連絡が届く。その時、峰の雪酒造場の佐藤社長はどういうリアクションだったのだろう?
「何年か前にミードを飲んだ私が、戻ってくるわけですね。しかも、私は会津で育った人間なので、ものすごく喜んでくれました。しかも、当時はミードを輸入している人はいたけど、造っている人はほとんどいなかったから、師匠にとってはひとり仲間が増えたみたいなもので、一緒にミードを広めよう! という感じでしたね」
23歳の時から念願だった「お酒の仕事」に就いたエレナさんの動きは、猛烈に早かった。2017年秋、まずはミードの存在を知ってもらおうと、峰の雪酒造場と連名で初めてのクラウドファンディングを行った。国産林檎の蜂蜜を使ったミードを返礼品として用意し、50万円を目標金額に据えたところ、553人から414万5111円が寄せられた。
これに大きな手応えを得たエレナさんは、2018年に3回のクラウドファンディングを行い、計800万円を超える金額を集めた。なぜ日本で無名だったはずのミードのクラウドファンディングに、これだけの金額が集まったのだろう?
「ミードはギリシャ神話や北欧神話、ケルト神話にも登場しますし、ローマ皇帝のカエサルやクレオパトラ、イギリスのエリザベス1世も飲んでいたと言われています。神話や歴史ってよくゲームに使われていて、そのなかにミードが登場するんですよ。さらに、『ハリーポッター』『ロード・オブ・ザ・リング』、20世紀にアメリカで創作されて、TRPG(テーブルゲームの一種)として世界的に人気の『クトゥルフ神話』にも出てきます。夫や私が働いていたIT業界にはサブカル好きが多いので、アニメ、ゲーム、ファンタジーが好きな人の間でミードの知名度が高いことを知っていました」
エレナさんは、クラウドファンディングで神話とミードの関係を前面に押し出した。さらに、クラウドファンディングの情報がサブカルファンに届くよう、ITのスキルを駆使した。それが、4回のクラウドファンディングで1200万円を超える金額につながったのだ。クラウドファンディングはその後も、エレナさんの活動をサポートする柱となる。
未知の細道の旅に出かけよう!
水と蜂蜜で造るお酒「ミード」を秩父で醸す
※本プランは当サイトが運営するプランではありません。実際のお出かけの際には各訪問先にお問い合わせの上お出かけください。